SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「そうなんです…。頑張ってはいるんですけど。」
クスッと下を向きながら、未紗子さんははにかんで見せた。
「そういえば、未紗子さん。」
突然、後ろから話しかけられて、未紗子さんは声の方へと視線を向けた。
「あら、裕木さん。来てくださってたのね。
飛鳥ちゃんもきっと喜んでるわ。」
にっこりと笑顔を見せつけて、未紗子さんは大哉の腕をそっと掴んだ。
「裕木、―――。」
ここで何かを察した大哉が、口を挟む。
「葛西先生、以前、お話しましたよね。」
「裕木、――!!」
「今回は飛鳥の七回忌と併修になさったんですか。」
「えっ、併修?」
「誰と一緒にしたんだね。」
周りの親族から、小さな声が上がる。
「裕木、ちょっと待て。」
「誰って、未紗子さんの赤ちゃんです。」