SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「それで、亜澄ちゃんはいつ出発するの?」
「来週です。」
「ほんとに行っちゃうの?」
「奏多君、私がいないと寂しいんですか。」
「寂しいよ、寂しいっつーの。」
あはははと二人で笑いながら、蝋燭に火を灯す。
「大哉は?」
「今日、模試なんです。もう少ししたら来るんじゃないかな。」
「離ればなれになっちゃうね。」
「でも、2年ですから。」
「亜澄ちゃん、なんか逞しくなったね…。」
「飛鳥に支えてもらってるような、気がして。
生きてるなら、後悔しないようにしなきゃって思うんです。」
「大哉、泣くかな。」
「泣いたら、奏多君、よろしくね。」
ふわっと、頬を風が凪いでいく。
飛鳥、―――。
私たち、これで、前に…進めるよね。