SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
終わった後の、大哉の癖。
きっと、本人も、気付いていない。
萎えるまでのしばらくの間、私の中でずっと、そのまま。
そして、―――。
私の左足を静かに上げて、ゆっくりと膝を撫でまわし、そっと唇を寄せる。
くすぐったい、とか。
そういうのは、絶対に言ってはいけない。
張りつめたまま、息を殺し、大哉の思うように身を任せる。
「亜澄。」
そうやって、大哉が声をかけてから、やっと魔法は解けるんだ。
「大哉っ!!」
首に腕を回し、私は満面の笑みで大哉を見上げる。
ねえ、大哉、―――。
誰を、抱いているの?
あなたの腕の中にいるのは、私だよ?
ここにいるのは、私、なんだよ?
「愛してる。」
答えなんか、帰ってこないの、わかってるくせに。
私はお約束ごとのように、毎回、愛を囁くんだ。
「好きよ、大哉、―――。」