SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
◇ 1
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「今日、終わったら行くよ。」
非常階段。
踊り場に設置された灰皿スタンドに、ぐいっと煙草をもみ消しながら、葛西先生は私を見上げた。
「うん、待ってる。」
嬉しくて仕方ないのに、感情を表に出さずに返事をする、私。
そんな私に目を細めながら、
「授業、頑張れよ。」
と、先生は私の頭をくしゃっくしゃっと触る。
「みっ、見られるから。」
焦る私を置いたまま、先生は振り返ることなく教務室へと続くドアを開けた。
高校生の頃から、埋まらない距離間。
先生×生徒…?
先輩×後輩…?
そして、今は、上司×部下…。