SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~



「ねえ、裕木先生。」



――――――?



机越しに、真っ直ぐに向けられた視線。



「どうしたの?」



まだ幼い感じが抜けないけど、彼は綺麗な顔をしている。



「俺さ、志望校、変えようと思って。」


「えっ、八木君って確か…。」



関西にある、K大学志望だったんじゃ……。



「裕木先生の行ったさ、Y大にしようかと思って。」


「どうしたの、――――?

だって、学部が…。ご両親と話、した?」


「先生、俺、受かったらさ。」


「ん?」


「葛西先生と別れて、俺と付き合って。」



――――――――!!



「不倫、だめじゃん、やっぱ。

俺の方が、健全でしょ?」



何、言ってんの?


何でバレちゃってんの…?



何で、―――――??


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