SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「じゃあ、裕木先生って、今、フリー?」
「煩いな、―――。
そこらへん、オブラートに包むとか、気を使ってよね。」
ドキドキドキと、逸る心臓。
ゆっくりと酸素を行き渡らせるように、すーっと息を吸い込んだ。
「はい、じゃあこれ。頑張ってね。」
教室を見渡しながら、椅子から立ち上がろうとした時だった。
「まだ、話、終わってない。」
―――――――!!
捉まれた手首が、強い力で引っ張られる。
「考えといてよ、さっきのこと。」
「えっ??」
「俺、絶対、受かるから。
だから、その時は、――――。」
「裕木先生。」
「…っ。」
即座に離された手。
振り返ると、入り口に立つ、大哉。
「…っ、ああ、はい。」
見られたんじゃないかっていう、焦り。
思わず、唾を飲み込んだ。