SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~

あいにく、土曜日は雨だった。


霧のような細かい雨が、フロントガラスに落ちてきて、たっぷりと留まってから流れていく。



「長靴で来ちゃった。」


「私もだよ。」



先生の運転する車で、みなとみらいまで向かう。


私が履くと長靴なのに、飛鳥だとレインブーツになっちゃう、不思議。



やっぱり足の長さかな。



膝の位置の高さを見比べながら、こっそりと観察する、私。



「駐車場、空いてるかな。」


「雨だからね、ちょっとはマシなんじゃない?」


「どこ、先、行く??」


「シーバス乗ろうっ。」


「じゃあ、駅の近くに停めよっか。」



後部座席で騒ぐ私たちと葛西先生は、ミラー越しに会話して。


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