SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「大丈夫。あそこ、女の子ばっかだってば。」
「写真とか、また勝手に撮られちゃうよ。」
「いいじゃん、撮りたいやつには勝手に撮らせとけば。
ツイに上がったら、盗撮ですか?って書きこんじゃう。」
「もう、――――。」
ケラケラと楽しげな声を立てて。
運転席にまで身を乗り出す飛鳥に、先生はもう何も言わない。
初めて、―――。
初めて三人で出かけた時に、気が付いた。
飛鳥は、葛西先生の前でだけ、甘えた我儘を言う。
学校で私が見ている、飛鳥とは違うっていうか…。
碧さんや、朝陽君、奏多君との会話とも、また…違う。
拗ねるのは、先生の前だけ、―――。
あ、…。
飛鳥は、葛西先生が好きなんだ、って。
「しょうがないな。」
ミラーに映る、優しい笑みを浮かべる、唇。
それは、もしかして…先生も―――?