SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「よっ、亜澄ちゃん。」
今日の飛鳥のお迎えは、奏多君。
奏多君、とか呼んでるけれど、彼は私たちの2つ年上だ。
院生の碧さん、就職活動を始めた朝陽君が忙しくなって、割合的にも奏多君が迎えに来ることが多い。
「奏多、奢って。」
飛鳥と身長が変わらない奏多君。
どう見たって、飛鳥の弟にしか見えなくて。
年も近いからか、小さな頃から喧嘩が激しかったようで、二人の会話には全く遠慮がない。
「何でだよ。お前の方が儲けてんだろ。」
「兄貴なんだから、奢ってよ。」
「うるせー。お前が奢れ。」
「嫌だよ。私の方が先に言ったんでしょ。」
いつまでたっても、私を間に挟んだ平行線な会話が、続いていく。