SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
「亜澄の成績を上げようと、大哉君、頑張ってるんだよー。
いろいろ調べたりしてさ。
だから、亜澄も真面目に頑張ってよ。
ね、―――??」
「…わかった。」
わざとらしく、眉間に皺を寄せて。
「…頑張る。」
頷いた私に向かって、
「よし、よし。」
って、にっこりと笑うから。
逆光の太陽が眩しい振りをして、私はすっと目を細めた。
さらさらとした細い髪の毛が、夕暮れの風になびいていく。
「うんっ、頑張れ、亜澄。
じゃあ、奏多、私、保健室にいるからメールして?」
「ふぉ、…ふぉ、…おお、わかった。
外、出んなよ?」
最後のひとつを口に放り込んで、奏多君は飛鳥を見上げた。
「わかってるって。」