SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~




「ただいま。」




玄関が開いた瞬間、彼の胸に飛び込んでいく。



「大哉っ、―――!!」


「何だよ、亜澄。

塾では、絶対見せない顔だな。」



私を受け止めながら、彼は苦笑する。



「だって、―――。

何がきっかけでばれちゃうか、わかんないし。」



この部屋の中、だけ。



二人きりの時にしか見せない、私の甘えぶりに彼も嬉しそうに笑う。



「おなか、減った。」


「そんな可愛い顔、しないの。

亜澄のツンデレ、まじで嵌る。」


「ツンデレとかじゃないもん。」



拗ねて見上げた瞳に映るのは、満足そうな彼の笑み。
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