SWEET PAIN ~ 死んじゃった人には絶対に敵わない ~
◇ 4
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深夜、0時、――――。
しーんと静まり返った、駐輪場。
そうだよね。
もう、こんな時間だし。
さすがに男の子だとしても、こんな時間まで待つわけないか。
辺りを見回して、誰もいないのを確認する。
よし、――――。
家までは、自転車で5分の距離。
急いで自転車に飛び乗って、家路を急いでいたはず、だった。
信号を渡ろうとして一歩踏み出した、瞬間。
「えっ。」
身体が動かないことに、気が付いた。
「ん、―――。」
排水溝の穴にすっぽりと収まった、ヒール。
引く抜こうと、足を浮かせたまでは、良かった。
「……っ。」
スコンと、パンプスだけが、脱げた。