いつまでも
あ、と思わず声が漏れた。
確かにそれは、とっておきの話だった。

声も笑顔もあの瞳も、まずは名前も。
少しでも彼のことが知れるのなら。


それにさ、と続けた愛理は急に真面目な顔になった。


「りっちゃんはまだ先輩のことが一番なんだろうけど、それでもあたしに8組の子のことを話してくれたのは、少なくともりっちゃんの中で前に進みたい!って気持ちがあったからじゃないのかな?」


私は思わずギクリとして、紅茶を一気に飲み干した。
愛理は続ける。


「でしたらあたしは、それを協力要請と受け止めます! 楽しみにしててね?」


ふふふ、と笑って彼女もカルピスをストローで思いっきり吸った。

こういう時の愛理は意地悪で、そして私のことをよく見ている。
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