いつまでも
でも、今日の愛理は笑顔ではなかった。

いつものように先輩のことを話す私の目を、真顔でじっと見つめてくるのだ。

童顔の愛理のその表情は、まるで拗ねている子どものようだった。


「愛理? どうしたの、そんな顔して」


私が尋ねると、彼女は箸を止めて戸惑ったように俯いてしまった。

何かあったのだろうか。
ものすごく、怖い。


やがて愛理は顔を上げ、先ほどの拗ねたような表情を見せた。

そしてきっぱりと言い放つ。


「りっちゃん、先輩のこと、大好きなのは分かるけどさ。そろそろ次に進んだら?」

「あ、愛理...?」


どんな状況でも私の判断を受け入れてくれていた愛理から聞いた、初めての忠告。

思わず私の箸を持つ手も止まる。
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