パズルのピースを繋いだら

「実はこれから待ち合わせで、さっき彼女からメール来たんですけど、今日で半年記念だねとか書いてあって。でも俺そんなの忘れちゃって何にも用意してないの、やばいかなあと。」


本当に焦っているのか、説明がめちゃくちゃだ。しかし状況は掴めた。


「何になさるかお決まりですか?」

「いやあ、女の子の物ってわかんないっすね。」

「彼女さん、ヘアアレンジはよくする方ですか?」

「いや、髪短いししないと思う。」

「ピアスは?穴開けてますかね?」

「開いてる、開いてます。そうか、ピアスにしよう。」


待ち合わせの時間を聞いたら、あと五分ということだった。

彼女がどんな人なのか、どういう趣味嗜好の女性なのかを大まかに質問し、なんとかプレゼントを選ぶことが出来た。

白い箱に入れてピンクのリボンをかけた。同じく白の小さな紙袋に箱を入れたら完璧。


「ありがとうございました。」


なんとか時間ギリギリで男性は店を後にした。

年単位ならまだしも、半年記念だなんて普通覚えていないだろう。少なくとも男の人はそういう人が多そう。

それなのにわざわざ贈り物をするなんて、本当に彼女が好きで優しい人なんだな。



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