パズルのピースを繋いだら
「……あ。」
「どうも。よく会うね、あーり。」
顔を上げると。目の前にいたのは昨夜の忌々しい男。
「なんでここにいるの?」
「逆だろ。ここ、俺のバイト先。来たのはあーりの方。」
憎たらしい笑顔で馴れ馴れしく話しかけてくる。昨日言われた台詞を思い出し、あの時の感情までもが蘇ってきた。
「軽々しく呼ばないで。その呼び方は彼氏だけなの。」
彼氏、の部分を強調した。
睨みつける。しかし、野方瑛は顔色一つ変えることなく笑顔のままだ。
「だって本当の名前知らないし。」
「当たり前でしょ、教えない。」
「じゃあ、あーりって呼び続けようっと。」
むかつく。むかつくむかつく。
なんなんだ、この男は。少しばかり言葉を交わしただけなのに、土足でずかずか踏み込んでくる。