パズルのピースを繋いだら
最寄り駅に帰ってきて、駅のすぐ隣の小さな書店に寄った。書店から出たらそろそろ日が暮れ始めた頃だった。
ふと。改札から出てくる後ろ姿を見つけた。あの栗色の髪、よく着ているあの青いTシャツ。間違いない、聡だ。
「聡!」
駆け足で近寄りながら声を掛ける。
聡がすごく驚いた顔で私を振り返った。
「びっくりした。」
「へへっ。どうしたの?今日来るって言ってなかったのに。」
「あー、うん。」
聡がこの駅に来るのは、私に会うためだ。
スーパーも書店も駅ビルも、聡の自宅の最寄り駅の方が大型のものが揃っている。この駅にしかないものは、私以外に、ないはず。