パズルのピースを繋いだら

「ちょっと友達と約束あってさ。」

「そうなんだ。その友達はこの近くに住んでるの?」

「あーりの家とはそんな近くないけど。」


聡は首の後ろに手をやった。聡の匂いがふわっと、空中に漂う。


「だったら今度紹介してよー。この辺りに友達いるなんて知らなかった。」

「あー、最近仲良くなった奴だから。じゃ、待ち合わせだから行くわ。」

「うん、またね。空いてる日メールしてよ?」


手を挙げただけの返事をしながら、私の家とは反対方向に聡は歩いていった。

後ろ姿。そのポケットには、今日はちゃんと財布が入っている。



< 27 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop