パズルのピースを繋いだら

「彼氏と別れた亜梨実ちゃーん。」


ぷっつん。大声でそう叫ばれ、頭の中で何かが切れる音がした。

踵を返し、野方瑛の元へずんずん歩く。


「大声であることないこと言わないで!」


本当に何がしたいのか、こいつは。私を困らせたいだけ?私が何かした?


「じゃあ無視すんなよ。」

「なんでよ。」

「俺ら知り合いじゃん。」

「私はあんたと知り合いになった覚えはない!」


この前パンケーキ奢ってあげたのになー、と野方瑛はいたずらに笑った。

つい、ほんの少し前まで、いい歌かもなんて思ったことは取り消しだ。


「何なの?何がしたいの?私を怒らせてどうしようって言うの?」


最後に会った時の聡の後ろ姿が浮かぶ。片手を上げた青いTシャツ、尻ポケットに財布の入ったジーンズ。
< 30 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop