パズルのピースを繋いだら
「送んなくていいのに。」
「いいの、私がそうしたいだけだから。」
ベッドの上で二人、乱れた息を整えてから、聡はすぐに服を着始めた。冷房の効いた部屋で、汗が冷たい水に変わる頃だった。
もう帰るの、と問いかけると、うん、と背中越しに返事が来た。
そして私もすぐに服を着て、聡を駅まで送っていくことにしたのだ。
「俺はいいけどさ、あーりが帰り危ないじゃんか。」
「大丈夫だよー。この辺人多いし明るいし。」
「まあな。」
駅前の広場を通り抜ける。スケボーを練習する少年たち、ボーカルの女の子とギターの男の子のグループ。
野方瑛の姿が見えない。今日はいないようだ。よかった。
「ねぇ、今度また聡の家行きたい。」
「あー、今散らかってるから。」
聡は左の手のひらを首の後ろにやった。この仕草は困った時にする仕草だ。
そのくらい、難なく気付けるんだ。だって私は、聡をよく見ているから。