パズルのピースを繋いだら

「ばーか、期待してんじゃねえよ。」


ぱっと離れた聡は悪戯っ子のような笑みを浮かべた。してやられたらしい。


「もうっ!期待なんかしてない!」

「嘘だな、えろい顔してたもん。」

「聡の意地悪。」


顔が赤いのがわかる。

少々強引なのはいつものことだけれど、その甘美な荒さに私はいつも酔ってしまうのだ。

歩みを進めてゆく。駅前広場には、ブレイクダンスをする十代らしき集団、スケートボードで跳ねる少年、ギターを胡座に乗せている人。

その人たちの間を縫うように駅へ。繋いだ手を更に強める。もうすぐ着いてしまう。
< 4 / 54 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop