パズルのピースを繋いだら

「おい。」


外に出た。何も買っていないまま。


「……また泣いてんの。」


野方瑛がいる。ちょんまげの、野方瑛が。


「泣いて、」


ない、と言おうとして、気付く。頬が濡れている。視界がぼやけている。


「……うぅっ…。」


気付いた途端に涙は止まらなくなった。胸の奥から声にならない声が漏れる。

何も考えたくない。


「ちょっと来い。」


ぶっきらぼうに言うと、野方瑛は下を向いた私の首根っこを腕で抱えるようにして、歩き始めた。

私は抵抗する気力もなく、引っ張られるがままに足を動かした。

ねっとりとまとわりつく夜の空気に、涙が溢れ続けるだけ。

仲良さげな聡とあの女の後ろ姿が脳裏に焼き付いている。薄々感づいていたものが映像になってしまった。こんなかたちで、はっきりと。

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