パズルのピースを繋いだら

「ちょっと来い。」


先程と同様、野方瑛に引っ張られた。今度は手首を。


「何なの、さっきから。」


野方瑛は答えない。私を引っ張ってずんずん歩く。

公園を出て狭い道路に出た。向かいに古い二階建てのアパートがある。各階に四部屋ずつあり、ドア側が道路に面していた。


「ここ、二階の右端の部屋。」


手を離すと、野方瑛は私の方を見て、指を差した。


「俺の家。」

「は?だから?」


私は涙を拭いながら返す。

アパートの脇にある街灯が明るくて、泣いているのが途端に恥ずかしくなった。


「その隣が、カワウソの浮気相手の家。」


野方瑛は指を僅かに左に動かしながら言う。


「……え?」


言葉をすぐに飲み込めなかった。 事実を理解するのに時間がかかる。

野方瑛の、隣の、部屋が、聡の横にいた、あの女の、家?
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