パズルのピースを繋いだら

私の部屋の白いテレビ台には引き出しがいくつも付いている。そのひとつはアクセサリー入れになっていて、その中にそれはある。

ラッピングされたまま一度も身につけたことはないピアス。小振りなピンク色の花のピアス。

聡が私の店に来たこと。待ち合わせだと言っていたこと。ヘアアレンジはしない彼女だからと、ピアスを選んだこと。

駅で偶然会った。家には行かせてくれない。持たない財布。来ない連絡。

もしかしたら聡は、私に嫌われたかったのかもしれない。

聡にとってここの駅は、私がいる場所ではなかったのだろう。

そのピアスを手に取って、今までを思い返した。

私の料理を何でも美味しいと言って食べたのは、愛情なんかじゃない。そこまでの執着がなかっただけ。

あの子にはうるさい好みを告げていた。それは、そこまで向き合っているということ。

簡単なことだったのに、私はずっと見ないフリをしていたのだ。気付かなければないのと同じだと思った。

パズルのピースを繋げれば、答えはすぐそこにあったのに。



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