パズルのピースを繋いだら
すぐに身を翻した聡は人と人の間をすり抜けて、見えなくなった。
ぽつん。改札の前で私は、右の手の平を眺めた。聡のか自分のかわからない、しっとり滲んだ汗で、きらきらと輝く。
「おまたせ。じゃ、行くわ。」
「ね、次はいつ会える?」
そのまま帰ろうとした腕を掴んだ。振り返った顔が一瞬曇ったのを、私は見逃さなかった。
「バイトのシフトわかったら連絡する。」
おやすみ、と私の頭をひと撫でして、改札の向こうへ消えて行った。
「気をつけてね、おやすみ。」
背中に手を振った。
聡の乗る電車は、あと九分後に発車する。