パズルのピースを繋いだら
聡を見送って引き返す。ひとりの足取りは幾分重たい。
「あのさ、そこのあんた。」
次はいつ会えるのかな。早く会いたい。一緒にいる時間が一秒でも長いといい。
「おい。」
餃子もがんばって作った甲斐があった。よかった、喜んでくれて。聡が笑ってくれるなら、私は何だって出来るような気になるよ。
「あーり。」
「えっ?」
ぼんやり歩いていたところで突然名前を呼ばれた。
聡だけの呼び方。声の聞こえた真後ろを振り返る。
「あーり。」
「え、だ、誰?」
目が合ったのは、私の名前を呼んだのは、ギターを抱えて胡座をかいたストリートミュージシャン風の男。
耳にかかるくらいの黒い長髪はパーマがかかり、服装はいかにも古着という感じ。街灯に照らされた目がぎらぎら光っている。その距離、僅か三メートル弱。