おててがくりーむぱん2
結ばれる運命
1
白鳥先生との壁は高い。
発覚から二週間がたった。
意地悪をされる訳でも、冷たくされる訳でもない。ましてや誰かにぺらぺらとしゃべられる訳でもないけれど、彼女の心は完全に閉ざされた。親しげな雰囲気は失われ、ビジネスライクな会話が続く。
光恵はどうしたらいいのかわからなかった。下手に刺激してもよくないし、かといってこのままも居心地が悪い。生徒に配るプリントを数えながら、光恵は溜息をついた。
「みながわせんせい!!!」
野島が素っ頓狂な声が、事務室に響き渡る。
「はっはい」
ぼんやりしていた光恵は、突然名前を呼ばれて、びっくりして背筋が延びた。手に持っていたプリントがばらばらっと床に落ちる。
「こっ、これ、先生でしょ? そうだよね」
野島がコンピュータの画面を指差しながら喚いている。その騒がしさで、他の講師達も「なになに?」と野島のコンピュータを覗き込んだ。
「えっ、これ……」
講師達が絶句しているのを見て、光恵の背中に汗が流れる。
何?
なんなの?
光恵はおそるおそる、野島のコンピュータに近づいた。