おててがくりーむぱん2


混沌が始まった。


なんとか授業を終えて戻ると、子供を迎えに来ている母親達が、こそこそと光恵を見て話をしている。ただのツーショットじゃない。ベッド写真だ。光恵は涙が出そうになるのを堪えて、帰り支度をした。


「皆川先生」
野島が光恵のデスクにまでやってきた。


「はい」
「今本部から連絡があってね」
「……はい」
「明日からちょっとお休みしてもらいたいらしいんだ」
「……」
「代行の先生は、他校から呼べるらしいから、安心して」
「……あの、いつまで」


光恵がそう訊ねると、野島が首を傾げる。


「さあ、それはわかんないな。でも、子供達の授業に影響があるとさ、保護者からのクレームもあるし」
そこで野島がぽんと光恵の肩を叩く。


「悪口言われたって平気だろ。なんてたって、佐田孝志と付き合ってるんだ。少々の嫉妬は覚悟しておかなくちゃな……ところで、やっぱり佐田孝志って、ベッドもいいの?」


光恵の顔から血の気が失せる。


面倒くさい人だと思っていたけれど、野島って人、本当に最低だ。


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