おててがくりーむぱん2
光恵は歯を食いしばって泣き出した。
酷い悪口や扱いを受けても、これほどの口惜しさは感じなかったのに。
夢から逃げた女。
孝志とは釣り合いが取れない。
そこに携帯が鳴った。
光恵はごしごしと手の甲で涙を拭うと、電話に出る。
「もしもし?」
「もしもし、光恵?」
孝志ではなかった。佑司は「大丈夫?」と訊ねる。
「うん」
「ほんと?」
「……ほんとは、駄目」
光恵はそう言うと、再び泣きそうになる。
「こんなにしんどいものだとは思わなかった」
「今から行くよ」
「いいって、そんな。迷惑かけちゃう」
「佐田さんから、メッセージ預かってるんだ」
「孝志から?」
「うん。今、佐田さんホテル缶詰で、携帯も取り上げられたって。だから名刺を持ってた俺に連絡がきた」
「ありがとう、ごめんね」
「気にするなよ」
電話を切ると、光恵は孝志を思った。
わたしのせいで、辛い思いをさせてしまった。
孝志……今すぐに会いたい。