おててがくりーむぱん2
夜の十二時前。
部屋のチャイムが鳴る音。
「どうぞ」
降り出した雨に肩を濡らした佑司を、光恵は自分の部屋に入れた。
光恵はハンドタオルを持ってくると、佑司に手渡す。佑司は「ありがとう」と受け取った。
窓の外からは、ぱらぱらと雨の音。
光恵は「コーヒー飲む?」と訊ねる。
「うん、サンキュー」
「砂糖とミルク入れるんだったよね」
「よく覚えてるね」
タオルで身体を拭いながら、佑司がうれしそうに笑った。
「はい、どうぞ」
暖かなカップをダイニングのテーブルの上に置く。佑司はそれを手に取って、一口飲んだ。
光恵は佑司の向かいに座り「ごめんなさい」と伝えた。
「いいんだよ。大変だったね」
「……うん」
「仕事は?」
「明日からしばらく来なくていいって」
「そっか」
光恵はテーブルの上で両手を握りしめた。