おててがくりーむぱん2


「佐田さんが、会いにこれなくてごめんって」
「うん」
「ホテルから電話をかけたいけど、事務所にばれるから無理だって」
「うん」
「これ、佐田さんの臨時のメアド。これなら連絡できるよ」


佑司はメモ用紙をそっと差し出した。


「ありがとう」
光恵は紙を受け取った。


「光恵」
「なに?」
「これからどうするつもり?」
「わかんない」


光恵は溜息をついた。


「俺が光恵と佐田さんの結婚を望んでいないから言うんじゃないって分かってほしいんだけど」
「……うん」
「彼との結婚、しばらくは無理だと思うよ」
「……」
「あの写真、みんなの神経を逆なでするようなものだった。あまりにもリアルで。だろ?」
「うん」
「今、彼は悪い女に引っかかったって思われてる。結婚すれば彼の評価はぐっと下がる」
「……」
「わかってるんだよな」
「そうだね」


光恵は泣きつかれてじんじんする目をこすった。


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