おててがくりーむぱん2
ネットに写真が流出した翌日、志賀から電話がきた。
完全に怒っていて、遠回しだったけれど「別れてほしい」と言われた。
予測していた言葉だったから、それほどショックでもなかったけれど。
それでも一人ぼんやりと部屋の真ん中に座り込み、何もする気がおきなくなった。
婚約の指輪を、そっと触る。
「結婚は無理」
佑司が言ったことは正しい。あの人はいつだって正しいのだから。
会いたい。
すごく会いたい。
光恵はベッドに転がって泣き出したが、すぐに電話の音で顔をあげた。
「もしもし」
「もしもし、光恵?」
母親からだった。そういえば何の連絡も入れてなかった。
「うん。ごめん連絡いれなくて」
「いいのよ。大丈夫?」
「うん、平気。迷惑かけちゃった」
「ううん、それはいいんだけど」
それから母親が迷うように「うちへ帰って来たら?」と声をかけた。
「でも……それこそ迷惑じゃない?」
「娘のピンチなんだもの。親なら助けたいと思うものなのよ」
「……ありがとう」
母親の優しさが、ことのほか染みる。
「うん、帰る」
光恵は頷いた。