おててがくりーむぱん2
「光恵には、二人の関係を考えるいい機会だと言っておきました」
佑司が言う。
「どういう二人になって、どういう人生を送るのか、考えてみたらどうですか?」
「どうしてそんなことを? 俺たちが結婚するのには、反対なんですよね」
「そうですよ。僕は彼女と結婚したい。プロポーズはしました」
げ、いつのまに。
ほんとこいつ、油断ならない。
「でも、僕は佐田さんのこと、結構好きなんです。だから、この混乱に乗じて奪うようなことはしたくない。彼女とあなたが自分の人生を選ぶんです」
「……」
「佐田さんがいない間、僕が彼女を守ります。それは安心してください」
佑司が言った。
「それは、お礼を言った方がいいこと、なんですよね?」
「どうかな?」
佑司は笑うと立ち上がった。
「今日はよろしくお願いします。進上はこの報道陣の数に興奮してます」
「でも御社の製品発表に集まった訳じゃ……」
「わかってますよ。話題になればいいんです。メディアに製品が流れるチャンスが増える。加えてあなたはまだ、イメージ良好だし」
佑司は孝志に深く礼をすると、背を向けて部屋を出て行った。