おててがくりーむぱん2
「春恵、落ち着きなさい」
父親が威厳のある声で注意したが、そんなことで落ち着く春恵ではない。
「はじめまして、佐田です」
孝志は立ち上がり、春恵に握手を求めた。
「は、はじめまして。え? えーーーーー???」
訳がわからないまま、春恵は孝志と握手を交わした。
孝志は光恵に「かわいい妹さんだね」と話しかける。そこで初めて、春恵は光恵に目を向けた。
「まさか……嘘でしょ」
春恵は目を大きく開いて、光恵に問いかけた。心なしか、声が枯れている。
「えっと、嘘じゃあないかな」
光恵は気まずく、小さな声で答えた。
「げーーーーーーーーー!!!!!」
春恵はスマホを放り投げた。
「ちょっと、いい大人の女が、そんな声をだすんじゃありません! 本当に、申し訳ありません」
動揺して母親が謝った。
孝志はソファに座り直すと
「順番が少し変わってしまいましたが……光恵さんと結婚したいと考えております。お許しいただけないでしょうか」
そう言って、頭を深く下げた。