おててがくりーむぱん2


「おまえが今、辛いってことはわかるけど」
「はあ」
「落ち過ぎだろ」
「俺なんて、気を抜けば、こんなもんです」


孝志は運ばれて来た日本酒をクイっと飲みほした。


「あの彼女と別れたのか?」
「……どうかなあ。あはは」


孝志は焼いたするめを口にいれたが、突然気持ちがなえてテーブルにつっぷした。


「孝志、お前、ほんと大丈夫?」
「……駄目。俺、彼女がいないとどうしようもないやつなんですよ」


ああ、泣けて来た。
ちくしょ、泣いてやるぞ。


「彼女はネットで言われているような、そんな女性じゃない。野島から俺に乗り換えたっていうのも嘘だし、データ流出も彼女からじゃない。もっと芯がしっかりした、頭のいい女性なんですよ」
「わかるよ。だろうな」
「でもああやってネット上に噂が広まると、それがまるで真実のように扱われる」
「そうだな」
「俺、口惜しいです。彼女のためにこの仕事を頑張ったのに、結局彼女を傷つけただけ」
「大の男が、そんな泣くなよ」


佐々木が少し呆れたような口調で言った。


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