おててがくりーむぱん2
「どうするかは、二人で決めることだから、俺はなんとも言えないけど」
「うん」
佑司が光恵の手を取った。
光恵は佑司の顔を見る。
「僕と結婚するっていう選択肢もあるよ。俺となら逃げ隠れしなくていいし、暖かな家庭になる」
「……そうかもね」
「光恵を見るたびに、なんだか胸が暖かくなるんだ。楽しかったいろんなことが思い出されて、幸福感に満たされる」
「わたしも、そう」
確かに、佑司といると、不思議な安心感がある。これを幸福感と言うなら、そうかもしれない。
でも、これって……。
「戻れない」
光恵は言った。
「この幸福感は、疑似体験だと思う。愛しい気持ちを思い出して、懐かしいっていうだけ」
佑司は黙った。
「佑司には感謝してる。でも……」
「わかってたよ」
佑司が溜息とともに、悲しげな笑みを浮かべた。
「自分でも光恵の言う通りだって気づいてたけど、相手が佐田さんだって知ったら、なんだかこの再会に意味があるような気がしてきて」
佑司が言った。