おててがくりーむぱん2
3
「もしもし、ミツ?」
「うん」
久しぶりに聞く彼の声は、低くて、甘くて、優しい。こんな風に耳元でささやかれると、光恵の心に再び焦燥感が溢れてくる。
離れたくない。
「ニュース見た?」
「うん」
「……なんて説明したらいいかわかんないけど」
「うん」
「このままじゃ、駄目だと思って」
彼は言った。
そう、結局答えはこれしかない。
お互いに答えを先延ばしにしていただけで、こうなることはわかってた。
いままでの二人では、限界があったんだ。
「いつ?」
「あした」
どうしてこんなぎりぎりで、連絡してくるんだろう。
心構えも何も、全くできてない。
「今日、会える?」
「うん」
「じゃあ、来て」
「うん」
いろんなことを話したいけど、胸がつかえて言葉にできない。
光恵は電話を切ると、部屋を飛び出した。