おててがくりーむぱん2
「俺はまだ、光恵を幸せにできない」
孝志が口火を切った。
「うん」
「このまま二人で、田舎の中華料理屋をやるっていうのも、いいなって思ったりしたけど」
「うん」
「でもきっと、後悔すると思うんだ」
「……わかるよ」
光恵は孝志の手をそっと握った。
「待っててとは言えない。いつまでかかるか分からないから」
「わかった」
光恵は目を閉じる。
孝志は光恵の頬に、手を触れた。
涙をこらえて、小刻みに震える。
「わたしも……後悔しないように頑張るから」
「うん」
目を開き、孝志の顔を見る。
二人は堪えきれず、ぎゅっとお互いを抱きしめた。
彼の体温。
彼の匂い。
強い腕を通じて、彼も震えているのが分かった。
そのまま二人、ソファに崩れ落ちる。
激しい口づけ。
お互いの手を握りしめて。
さよなら。
絶対に、忘れない。