おててがくりーむぱん2
六年間。
長いトンネルのようだった。
このままがむしゃらに突き進んでいいのか、迷って眠れない日も数えきれないくらいあった。
でも、目の前のこの人が「また会える」と言ったから。
わたしは今、ここにいるんだ。
「はい、わたしでよければ」
光恵は涙を浮かべ、そう返事をした。
孝志の顔に、暖かな笑顔が浮かぶ。
「光恵がいいんだ」
孝志は光恵の指にそっと指輪を戻す。
それから、光恵の身体を優しく抱きしめた。
シャッターを切る音。
MCのすすり泣く声。
そして、祝福の拍手が聞こえる。
「愛してる」
孝志が耳元でささやく。
「わたしも」
光恵は、孝志の肩に顔を埋めながら、そう言った。
【完】