おててがくりーむぱん2
光恵はまだ一言も発しない。
孝志から視線を外すと、はめられた指輪をじっと見つめる。
それから、くるくると自分でその指輪を回しはじめた。
まさか……はずすつもり?
孝志はあわてて光恵の手を止める。
それから思い切って、その指にそっとキスをした。
「俺たち、結婚するんだよ」
「……」
「結婚……するんだよ……ね?」
あれ? 俺、汗かいてきた。
「……ほんと?」
ミツがしゃべった!
でも、『ほんと?』って、どういう意味?
「ほんとだよ」
「なんで」
「なんでって言われても」
孝志にじわりじわりとパニックが押し寄せる。
どうしよう。
ミツが戸惑ってる。
さっきのは、勢いで「はい」って言っただけで、本当はもうそんな気ないのか?
「彼女、いないの?」
光恵が訊ねる。
「いないよ」
「ほんと?」
「うん」
「わたしに……彼がいるかもよ」
「いない」
「なんで、そう思うの?」
「だってリサーチ済みだから」