おててがくりーむぱん2
エンジンをかけ、車を発進させる。後ろを振り返ると、家族が道路に出て車を見送っていた。
「安心した。もっと怒られるかと思ってたから」
ハンドルを握りながら、孝志がうれしそうに言った。
「うん、そうだね」
光恵はそう答えながらも、両親の心配を思うと胸が痛んだ。きっと本当は、普通の結婚を望んでいるはず。
それはわたしも。
「妹さんは可愛いし、ご両親は優しそうだった。お母さん、ミツに似てるね」
「そう?」
「今度ちゃんと時間を作って、みんなでご飯食べよう」
「うん、ありがとう」
光恵は窓の外に視線を移す。
畑に、沈み行く太陽のオレンジ色が光っていた。