おててがくりーむぱん2
番外編【半年後のわたしたち】
「よかったあ。ほんとよかったあ」
春恵は号泣しながら、鏡越しに光恵の白いドレス姿を見ている。
春。
わたしたちは結婚する。
「そんなに泣かないで」
「だって……心配だったんだもん」
光恵は振り向き、春恵を優しいまなざしで見つめる。
「ありがと。心配かけてごめんね」
「いいよ、そんなの。だって佐田さんがお兄さんになるんだもん……わたし、超ラッキーじゃん」
春恵は真っ赤な目をして、にやりと笑う。
「結局そこ?」
光恵も思わず笑ってしまう。
「ねえ、インスタに写真のせていい?」
「駄目」
「やっぱりね。つまんない」
「春恵は相変わらず、ミーハーなんだから」
「えへへ」
春恵が静かに光恵に歩み寄る。光恵の手をそっと握った。
「幸せになってね」
「うん。ありがとう」
春恵はにこっと笑うと、一歩下がる。
「さてと、ロビー見てくるかな。佐田さんのお友達、有名人ばっかりなんだもん。一緒に写真とってもらうんだ」
春恵はうれしそうに笑うと、控え室を出て行った。
似ていて、でも似ていない、妹。
彼女はすでに名字が変わっている。
わたしよりも先に結婚したのだ。
時は流れている。