おててがくりーむぱん2
両親もこの結婚を喜んでいる。
光恵にはそれが一番うれしい。
「今度こそ、よろしくお願いします」
そういって笑った父親の顔が忘れられない。いつまでも嫁に行かない娘をどうしようかと、ずっと悩んでいたに違いなかった。そう思うと、自然と涙腺が緩んでくる。
「だめだめ。まだ式も始まってないのに」
光恵はきれいに引かれたアイラインをこすらないように、ティッシュをで瞳をそっと押さえた。
「ばたーんっ」
突然、すごい勢いで控え室の扉が開かれた。
光恵は思わず「わあ」と叫び声をあげる。
「なっ、何?」
慌てて振り返ると、髪を振り乱した女性が扉の前に仁王立ちになっていた。
二十代後半の女性。肩までの栗色の髪が、爆発したように広がっている。眉をつり上げて、光恵の姿を睨みつけていた。
「ど、どなたですか?」
光恵は彼女の勢いに後じさりする。
彼女は一歩足を踏み出した。
「あなたはだまされてるわ」
そう言った。