おててがくりーむぱん2
「おつかれ」
「うん、おつかれさま」
「もうお母様いらしてる?」
「うん、部屋にいるよ」
孝志が言うと、光恵は汗をかいてきた。
「緊張する……」
「大丈夫だって。優しい母親だから」
「うん……」
光恵はうつむいて、自分の左手に光る婚約指輪を指で回した。
「いつもしてくれてる」
孝志がそっと光恵の手を取る。
「うれしい」
孝志が光恵の掌に、そっとキスをした。
「うん」
光恵は照れながらも、思わず笑顔になる。
幸せ。
最高に幸せだわ。
夢見心地で孝志の顔を見上げると、孝志が「あ!」という顔をして、慌てて顔を伏せた。
「皆川先生!」
素っ頓狂な声が、背中から聞こえて来た。
振り返ると白鳥先生が、口をあんぐり開けてこっちを見ている。
「嘘でしょっ!」