おててがくりーむぱん2

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九時少し前に、塾に到着した。朝のこの時間は、夏であっても涼しい。空気も心なしか澄んでいるような気がする。


光恵は事務室に入ると、窓を開け放った。


「ああ、気持ちいい」
光恵は日差しに目を細めて、思わず笑みを浮かべた。


「おはようございます」


野島がやって来た。相変わらず疲れた様子だ。


なんでそんなに疲れてんだ?


「皆川先生ありがとね」
「いえいえ、大丈夫ですよ」
光恵は笑顔で返した。


今日入れ替えるのは、事務室のコンピュータ二台。講師が使っているノート型のコンピュータには触らない。たいした仕事量じゃない。昼前には終わるだろう。


今日のお昼、なに食べよっかな。


光恵が暢気にそんなことを考えていると、野島が「おはようございます」と言う声が聞こえた。


顔を上げると、思わず息を飲む。
見覚えのある顔がそこにいた。


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