おててがくりーむぱん2
いたたまれない沈黙。
昔の彼に出会うって、こんなに緊張するものなんだ。
「もしよかったら……ちょっと話さないか? ひさしぶりだし」
佑司が鞄を探る振りをして、目をそらしながら問いかける。
「あ、うん……そうだね」
光恵もなんでもない、というようにそう答えた。
「じゃ、俺の番号」
佑司は鞄からスマホを取り出す。
「うん」
光恵も携帯を手にする。
それから二人は歩み寄る。
側に寄る理由が見つかって、ほっとした、そんな感じで。
番号を交換し終わると、光恵は軽く溜息をついた。
佑司の気配を感じるこの距離は、かなりの緊張を強いる。
それから、うっすら心臓を覆う、罪悪感。
「今夜空いてる?」
「うん、大丈夫よ」
「何時ごろ?」
「九時すぎ」
「オッケー。お店決めて連絡する」
「うん」
ずっと携帯を見つめていた佑司の視線が、光恵へ向く。
「変わんない、光恵」
それから佑司は、何度も光恵の心を揺り動かした、あの照れた笑顔を浮かべた。