おててがくりーむぱん2
「結婚って、いいものですか?」
孝志は思わず訊ねる。脳裏に光恵の笑顔がよぎった。
「ああ、いいよ」
佐々木はテレもせず、さらっと言った。
「やっぱりそうですよね」
孝志は自然と顔に笑みが浮かぶ。
「何? 結婚すんの?」
佐々木が不思議そうな顔で孝志を見つめる。
あ、まずいや。
「いえいえ。憧れですよ」
孝志は首を振った。
「ほんとか?」
「そんな訳ないじゃないですか」
孝志は「ははは」と笑い返す。
「付き合ってる人、いるだろ?」
佐々木がにやりと笑いながら、問いかける。
「まあ……」
孝志もそこは否定できない。
俺にはミツっていう、スイートな恋人がいるんだから。
「その恋人も大変だな。お前と結婚するのは難しいからなあ」
佐々木は頭をもしゃもしゃとかきながら言う。
「そうですかね」
孝志は首を傾げる。
「そりゃそうさ。孝志、自分で分かってないの?」
佐々木が笑った。
「ま、いいや。今度ゆっくり話そう! 仕事の話も含めてな。お疲れ!」
佐々木が孝志の背中をぽんぽんと軽く叩く。
「おつかれさまでした」
孝志は頭を下げた。