おててがくりーむぱん2
ふかふかのバスタオルで頭をごしごしと拭いていると、ラインの音がした。
「今日は予定があるの。ごめん」
孝志は口を、たこのようにむぅっと突き出した。
ちぇ。
でも仕方ない。
こんな日もある。
「じゃ、予定の後迎えに行く。マンションで会おうよ」
すぐに返信がきた。
「いい」
孝志は思わず「つめたっ」と声に出してしまった。
迎えはいらん、ってこと?
俺に会いたくないってこと?
会いたいって思ってるのは、俺だけなの?
「じゃ、いつ会える?」
本当は駄々をこねたい気分だったが、ここは冷静に、大人の男として返信してみた。
「わかんない。また連絡する」
孝志はスマホを放りなげた。
ミツ、冷たすぎる。
今日はドラマも終わって、気分上々だったのにぃ。
畳に転がって、孝志は頬を膨らませた。
それから突然目を輝かせる。
そうだ、迎えに行っちゃえばいいんだ。
そしたらきっと「ありがとう、うれしい」って言ってくれるはず。
だって、ミツだよ?
俺の愛しのミツ。
未来の奥さん。
うれしくない訳がない。
孝志は、ミツがびっくりして、それから笑顔になるのを想像して、自然と笑みを浮かべた。