おててがくりーむぱん2
二人は並んで夜の町へと歩き出す。
孝志はあわてて車を飛び降りた。
男!
ミツが俺以外の男と!
うそだあああああ。
孝志は帽子を目深にかぶり、二人の後を追い始めた。
夏のもわっとしたほこりくさい空気。
だて眼鏡にたまった汗を、袖で拭った。
あの男は誰なんだ?
どうしてあいつと歩いてる?
まさか……浮気???
孝志はストーカーさながらに、ひっそりと二人を追いかけた。
声をかける?
いや、仕事関係の人かもしれないし。
友達かもしんない。
ミツの横顔がちらりと見える。
あ、うれしそうに笑ってる。
孝志の胸が、ズキンと痛んだ。
二人は駅近くのイタリアンへと入って行く。オープンテラスがついていて、客席にはカップルが多い。
割と高級な感じ。そう、デートで使いそうな、そんな感じの……。
孝志は後を追って店に入りたかったが、わずかに残った大人としての理性が押しとどめた。
後をつけていたことがミツにばれたら、ストーカーだって思われるかもしれない。
そりゃいかん。
マジでいかん。
孝志はレストラン向かいのカフェに入ることにした。窓際の席が空いてる。
座って、出てくるのを待とう。
そのまま……
ほ、ホテルとか、そんな、いかがわしい場所へ行くようなら、
断固阻止しなくちゃ!
孝志はコーヒーをオーダーし、見逃さないように、レストランを凝視し始めた。