おててがくりーむぱん2
「宣伝部の奴がさ、佐田孝志をCMに使いたいけど、高すぎて駄目だって、ぼやいてた」
「へえ」
「どんな人なの?」
エロ小学生です。
光恵はのど元まででかかったその言葉をぐっと飲み込み、「イメージ通りの人」と答える。
「へえ、あんな人もいるんだなあ」
佑司は暢気にそう言った。
ウェイターがオードブルをテーブルに並べる。
二人はその間黙り込んだ。
ウェイターが離れると、気まずい空気が流れる。
「あ、佑司は? どうなの?」
光恵は取り繕うように、言った。
「どうって?」
「結婚生活とか」
すると佑司が、頬をゆがめて笑う。
「離婚したんだ」
それから自分の左手を光恵に見せた。
「え?」
光恵は思わず大きな声をだした。「ほんと?」
佑司は少し恥じ入るような表情を見せて、そらから「うん」と頷いた。
たしかに薬指に指輪はなかった。
「……どうしたの?」
光恵はついきいてしまった。
「うん、そうだな。俺が、奥さんにちゃんと向き合わなかったのが、原因だと思うよ」
佑司はそう言って、再び眼鏡を触った。